農地転用

はじめに

自分で所有している田畑でも別の農家と勝手に売買することもできませんし、結婚した子供のために勝手に家を建てることもできません。
「自分の土地だから自由に使っていいだろう」と思う気持ちはよくわかりますが、農地であった場合は農地法その他の関係法令の制約を受け、原則として知事の許可が必要となります。
またどうしても転用できない農地も存在しますので、まず事前の調査が必要です。

農地法の許可の種類


例外:「市街化区域」の場合
対象の農地が「市街化区域」にある場合は、農地法第4条・第5条の手続きは、「県の許可」ではなく、「市の農業委員会への事前届出」となります。

農地の分類

区分 内容 要件
農用地区域 農業振興地域の整備に関する法律に基づき、市町村が定める農業振興地域整備計画において、農用地等として利用すべき土地として定められた土地の区域 農用地区域内にある農地
(農振法第8条第2項第1号)
甲種農地 市街化調整区域内にある特に良好な営農条件
を備えている農地
①集団的(おおむね20ha以上)に存在する農地で、高性能な農業機械による営農に適するものと認められる農地
②特定土地改良事業等を実施中または施工した区域で、当該事業の完了した年度の翌年度から8年を経過していない区域内の農地
第1種農地 良好な営農条件を備えている農地 ①集団的(おおむね20ha以上)に存在する農地
②土地改良法等の施行に係る区域内の農地
第2種農地 (1)「市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地」に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地
(2)農用地区域にある農地以外の農地であって、甲種農地および第3種農地のいずれの要件にも該当しない農地
(1)に当てはまる要件
①街路(農道を除く)が普遍的に配置されている地域内の農地
②市街地化の傾向が著しい区域に近接する区域内にある農地の区域で、その規模が概ね20ha未満であるもの
③駅、市町村役場等の公共施設から至近距離(500m以内)にある地域内の農地
※第3.種農地に該当するものを除く
(2)に当てはまる要件
山中間地域に存在する農業公共投資の対象となっていない小集団の農地等
第3種農地 市街地の区域内または市街地化の傾向が著しい区域内にある農地 ①上下水道管、ガス管等が埋設された道路の沿道の区域であって、概ね500m以内に2以上の教育施設、医療施設等の公共公益施設があるもの
②駅、市町村役場等の公共施設から至近距離(300m以内)にある地域内の農地
③都市計画法上の用途地域が定められている区域内の農地
④土地区画整理事業の施行に係る区域

許可の基準

(1)立地基準

区分 許可の可否 例外
農用地区域 原則不許可 次のいずれかの場合には、許可される可能性があります。
・土地収用法第3条の該当施設
・地域住民のための医療・福祉施設
・農家住宅又は農家住宅敷地の拡張
・農家分家住宅又は農家分家住宅敷地の拡張
・自己用住宅
・農業者又は農業者が組織する法人等が設置する農産物出荷・加工・販売施設
・既存施設の拡張
・公共移転
・地域住民の日常生活に必要な物品の販売、加工、修理等の店舗・事務所等
・事業所が近傍に設置する資材置き場・駐車場
・地域住民のための駐車場
・国道、都道府県道沿いの沿道サービス施設
・その他農業振興地域のの振興、又は地域の振興に必要な施設
甲種農地 原則不許可
第1種農地 原則不許可
第2種農地 申請に係る農地に代えて、周辺の他の土地を供することにより当該申請に係る事業の目的を達成することが出来ると認められる場合には、原則として不許可
第3種農地 原則許可

(2)一般基準

立地基準に適合する場合であっても、次のいずれかに該当する場合には許可がおりません。

①農地を転用して申請に係る用途に供することが確実と認められない場合

  • 必要な資力及び信用があると認められない場合
  • 転用行為が妨げとなる権利を有する者の同意を得ていない場合
  • 許可後、遅滞なく申請に係る用途に供する見込みがない場合
  • 申請に係る農地と一体として事業の目的に供する土地を利用できる見込みがない場合
  • 転用面積が申請に係る事業の目的から見て適正と認められない場合
  • 申請に係る事業の施行に関して行政庁が免許、許可、認可等の処分を必要とする場合において、これらの処分がされなかったこと又はこれらの処分がされる見込みがないこと
  • 工場、住宅その他の施設の用に供される土地の造成のみが目的である場合

②周辺農地に係る営農条件に支障を生じるおそれがあると認められる場合

  • 申請に係る農地の転用行為により、土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあると認められる場合
  • 集団的に存在する農地を蚕食し、又は分断するおそれがあると認められる場合
  • 日照、通風等に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合
  • 農道、ため池その他の農地の保全又は利用上必要な施設を有する機能に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合

③仮説工作物その他の一時的な利用に供するために農地を転用する場合において、その利用された後にその土地が耕作の目的に供されることが確実と認められない場合

農地転用申請と農振除外申請・開発行為許可申請の関係

必要書類

農地法第5条第1項申請用書類一覧

  1. 農地法第5条第1項申請書
  2. 譲渡人の印鑑証明書
  3. 譲受人の住民票(法人の場合は登記事項証明書、定款、決算書、議事録等)
  4. 戸籍の写し(自己用住宅の場合)
  5. 全部事項証明書(土地・全部)
    ①抵当権・仮登記等がある場合は権利者の承諾書(押印)
    ②現住所と登記時の住所が異なる場合は関連を示す書類
  6. 農用地区除外証明書
  7. 土地改良区意見書(土地改良区域の場合)
  8. 位置図(1/20,000の都市計画図のコピー可)
  9. 案内図(住宅地図の写し等)
  10. 公図の写し(周辺地番の地目を記入)
  11. 建物等の配置図(1/100~500程度)
  12. 建物平面・立面図
  13. 資金調達計画書、見積書、残高証明書、融資証明書
  14. 農家証明書(農家住宅・農業用施設)
  15. 用地拡張等の場合は、既存建物の現況写真及び書面
  16. 農業用倉庫等の場合は「農業用施設の建設に係る資料」
  17. 資材置場(含駐車場)等の場合は「資材置場の設置に係る資料」
  18. 借家証明書(賃貸借契約書写し)・親族系統図
  19. 理由書・始末書等
  20. その他必要とされる書類(他法令関係・資格を有する書類等)
  21. 委任状(電話番号等含む)

一覧表ダウンロード

農地転用・開発行為 許可申請料金表(埼玉県内)

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